〇当社光触媒の特徴


光触媒の分類

光触媒には二酸化チタンを用いますが、元来白色隠蔽塗料として、もともと粉状で市販されてきた二酸化チタンは光触媒として用いるにも粉状でバインダと共に用いられることが多いのですが、ナノ材料としての特性を活かすべく別の適用法が見出されました。

光触媒を二酸化チタンの材料的観点で分類します。弊社の剤は水分散系に属しますが、アルコール溶媒にも分散可能な特性を有します。

もともとは粉状でしか市場に無かった二酸化チタンには何らかの固定化手段が必要で、各企業は液状に製品化することで固定化を進めてこられました。
日本国内の光触媒剤をみると大きくこのような分別ができることになります。
粉系:粉状二酸化チタンを液に分散し、固定化するためにバインダを用いる方法
結晶系:粉を使用しないで液中に二酸化チタン結晶を直接、分散できる生成方法

薄膜光触媒成膜の特徴

当社の二酸化チタン薄膜は粉状二酸化チタンを使用しない、アナターゼ結晶二酸化チタンを水中に分散させ、これを超微細な水滴としてスプレー噴霧されることで、まずチタン結晶の混入した水膜が生成します。この微細な水滴は水の粒として表面に付着したのち、水分が蒸発しながら互いに引き付けあい、二酸化チタンの結晶同士が隣り合って並びあうことで、二酸化チタン結晶の膜状体が生成されます。

この並びあう結晶同士には、それぞれOH基、O基を保有しており例えばOH基同士やO基同士は、お互いに同じ基であることから引き付けあい、並びあいますが、この状態でも水分の蒸発は進んでおり、やがてOH基同士は結合し合って水を創り出し、余剰のO基同士もまた結合しあって、隣同士、或いは層間でのそれぞれの分子結合が起こります。

このとき分子同士がお互いに引き寄せられあい、一旦膜状に堆積した二酸化チタン分子はお互いの分子間の距離を縮めあいながら、分子の基を共有しあい、やがてこの共有により創り出された水分も蒸発していって、膜状の結合はチタン原子、酸素原子のみで構成される成膜が完成します。

このようにバインダがなくても、二酸化チタン結晶がそもそも保有する分子間力の結合により開始された成膜は、やがて化学的共有結合に及んで硬い、丈夫な膜を形成することができるのは、ひとえに当社のゾルに保有されている二酸化チタン結晶が極端に小さな大きさで(5~10nm)、この大きさの分子は分子間力だけで、充分にお互いの分子を引き付けあうことが可能です。

これが粉状の二酸化チタンでは、粒径が当社結晶型二酸化チタンとは約1,000倍も大きさが大きいため、このような成膜は不可能となります。

このように結晶そのもので覆われた膜の性質は、成膜時に分子がお互いの距離を縮めながら結合していく性格から、膜の中にクラックを生じますが、このクラックが膜内にあるため、積層された成膜の場合でも、最上層のみが反応に寄与するのでなく、下部層まで膜内クラックを利用して光触媒反応が起こりえるのです。

このような成膜を可能にし、かつ光触媒としての機能性を高めるはたらきは、光触媒としての二酸化チタンであればどれでも同じという訳ではありません。

国内に上梓されている二酸化チタンコーティング剤の大半は粉のアナターゼ型二酸化チタンを利用して、如何に細かく目に見える粒を砕いてバインダに混ぜるか、が製品の良否を決定付けています。

これに対して、当社では粉状の二酸化チタンを一切、使用していません。

当社の二酸化チタン光触媒コーティングは粉状二酸化チタンの大きさが数ミクロンとすれば、この粉を形成している二酸化チタン結晶そのものの大きさとなるため、その1,000分の1、数ナノメートルというサイズが、他社にはできない機能を樹立しています。