日本ほど水事情のよい国は世界にも多くはありません。

ライフラインとしての上水道設備は設置も維持も大変ですが1980年代からの10年間で飲料水の水源改善の恩恵に与かった人々は10億人にのぼるとされている反面、特に発展途上国の中には未だに安全な飲料水が、住民全てに行き渡らない国もあります。全世界でみれば10億人の人々がこうした災禍から逃れられていません。

飲料水浄化を取り巻く地球的状況

飲料水を含む水問題の解決は「国連による持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)目標6」に
すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保することが明記されています。
飲料水浄化は膜濾過や吸着剤などのように、すでに技術的に確立されているものは多いですが、
初期コストとランニングコストが共に、途上国の特に低所得者層には手が届かないのが実情です。
地方の農村部集落では雨水や湧水などを未処理で飲用にしている生活環境が続いています。

光触媒の利用

太陽光は低緯度地域での利用が最適とされていますが、開発途上国の大半がそこに位置していることを考えると、
光触媒はこの太陽光を利用することで水問題を一挙に解決する可能性を持っています。

どうして光触媒が水処理に利用されてこなかったのか?

第一に、これまでは水中で長期に渡って使用出来る光触媒材料が存在しませんでした。
第二に、飲料水という実環境での水を光触媒処理の対象としたとき、水中に元々存在する成分が
どのように光触媒機能に影響するのかも明らかではありませんでした。
光触媒は、太陽光さえあれば水中の微生物や有機汚染物質を処理できるという経済性を含めて
優れた能力にも関わらず、このような問題点が解決できていないため実用化されていませんでした。

光触媒セラミックス固形剤の発明

こうした現状を鑑みて、私どもは水中で長期にわたり光触媒機能を保つ酸化チタンセラミック光触媒の開発に成功しました。
これにより、長期に渡る光触媒水浄化が単に可能となっただけでなく、水中溶存物質の光触媒能に与える長期影響評価も可能となりました。
セラミックスの固体ですから堅く、摩耗に強く、太陽光さえあれば他の装置に必須のランニングコストを気にかけず
長期に渡る水浄化が可能となったのです。

こうした環境下で、光触媒を用いることでイニシアルコスト、ランニングコストを低減でき、かつ長期に亘る安定した性能を供給できる態勢が可能になります。

光触媒ソリッドチタニア

光触媒は、活性炭のような物理吸着剤とは異なり、化学的に有機物を分解することができますが、反応時間が掛かり処理量が小さいという弱点があります。
この弱点を克服するため、面積が大きく、かつ硬度の高い、光触媒固形剤として産まれました。
本品は厚さ 0.5~1.0 ㎜のチップがすべて光触媒二酸化チタンという構造で、担体であるセラミックスや硝子ビーズ表面にコーティングされた光触媒材とは根本的に異なります。
したがって剥離することもなく、もし割れてもその破片自体が同じく二酸化チタン固形物ですから光触媒として機能します。

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性能

本品を用いた試作水処理装置がタイ北部国境地域の山村で評価されました。
太陽が昇って紫外線量の増大に伴い、水中の大腸菌コロニー数が減少していきます。
陽が落ちて紫外線量が減衰すると本来逆戻りで増大する大腸菌数は減少したままです。
これは本品のセラミックス構造が水中のミネラル成分と反応して物理的に微生物を損傷するメカニズムが
働いていると考えられ、光触媒と同時並行して研究開発が進められています。

光触媒水処理装置化への取り組み

マレーシアでは日本と異なり、ふんだんに利用できる紫外線を利用して、農業殺虫剤の飲料地下水混入を防御する技術を光触媒を利用して完成させました。

この装置は当社の協力で新たに開発した光触媒固型材「光触媒フレーク」を用い、砂ろ過した地下水を日本の3から5倍もの紫外線照射により水中に混入した殺虫剤成分を光触媒分解してTOC(全有機炭素量)を95%低減できたことが評価され、地元の新聞でも大きく取り扱われました。

この水質浄化装置の写真は事例ギャラリーに掲載されています。また掲載新聞も表示しております。